2021年03月10日

東京消防庁T類 論文試験対策2021最新版(8)

 今回からはCタイプ、ある特定のテーマ、視点に関連して、「自らの経験」を踏まえて考えを述べるタイプの論文について、答案作成のコツを考えてみます。ちなみにこの系統のテーマ、近年はずっと出ていませんが、ひょっとして……ということも。それに、東京消防庁以外の併願先でこのタイプに出くわす可能性もあるので、ぜひ備えておきましょう。
 このタイプは「経験」を踏まえて述べるので、論文というよりは「作文」なのですが、だからといって書くのがラクだとも言いきれません。例として、2013年2回目の論文課題を取り上げてみます。

「あなたが今までに最も困難だと感じた経験から学んだことをあげ、それをこれからどのように活かしていくか述べなさい。」(2013年2回目)
 指示そのものは非常に明快ですよね。「今までに最も困難だと感じた経験から学んだこと」→「それをこれからどのように活かしていくか」という順序で述べればいい。
 留意すべきは、以下のような点でしょう。

★「学んだこと」の中身を端的に、わかりやすく示す
 「困難を感じた経験」が細かく述べられているのに、肝心の「学んだこと」の中身がはっきりしない、というのでは困ります。じゃあその中身をどう表現するかですが、これは消防官(を目指すもの)の立場から考えてみてください。「これからどのように活かしていくか」というのは、むろん東京消防庁消防官としてどのように活かすか、です。だとすると、「学んだこと」の中身は、可能な限り消防官の職務や消防官に求められる資質という観点から考えなくてはなりません。具体的には、「高度なチームワークを築く方法」「つねに冷静な判断と行動」「正確な情報伝達能力」「実践を想定した訓練の重要性」……など、消防官(救急隊員)の職務に直結するようなものにすべきだということです。
 
★「学んだこと」にぴったり整合した経験談を述べる
 言うまでもありませんが、この点もよくよく気をつけてくださいね。たとえば「チームワークのあり方」を学んだのであれば、それを裏付ける経験談はチームのメンバーとの関係性に焦点を当てて述べることになるでしょう。一方、「正確な情報伝達のあり方」を学んだのであれば、経験談では具体的なことばの使い方・話し方に焦点を当てることになります。まず「学んだこと」の中身をしっかり決めてから、それに沿うように自らの経験を述べるようにしましょう。

★経験談にストーリー性をもたせる
 経験談の述べ方にも暗黙の定型があります。当初はうまくいかない状態だった→問題点や課題を洗い出した→改善策を実行した→成果を上げた というストーリーにして語るのがお約束ですよね。消防官の職務の性質を考えるなら、「改善策の実行」は単独行動ではなく、チームのメンバーと力を合わせて実行した事例が望ましいでしょう。(そのうえで自分自身がリーダーシップをとり、率先して行ったという状況ならなおよし。)
 
 答案の前半に「学んだこと」+「裏付ける経験」がきっちり述べられ、後半にそれを受け「(消防官として)どのように活かしていくか」が述べられていれば、とりあえずOK。
 では、次回は全体的な展開・段落構成について取り上げてみることにします。

※東京消防庁T類論文の実際の過去問については、以下のページにまとめてありますのでご覧ください。
⇒ https://tokyoshobo.uijin.com/contents03.html
※なお、実際の過去問の答案例やくわしい解説は『東京消防庁消防官T類 論文試験対策テキスト(2021年受験版)』に収録しています。内容については以下をご覧ください。参考にしていただければ幸いです。
⇒ https://tokyoshobosiken.seesaa.net/article/480170884.html
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2021年03月09日

「消防に関する世論調査(令和2年)」の公表

 東京消防庁が「消防に関する世論調査(令和2年)」を公表しました。
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/yoron/yoronR02.html
 
 東京消防庁消防官1類採用試験では、これまでに3回(2017年1回目、2018年2回目、2019年1回目)、「消防に関する世論調査」のアンケ―ト結果(グラフ)を読み取って論述させる課題が出題されています。とくに気になる項目は「東京消防庁T類採用試験論文試験対策資料集」p.16〜にまとめていますので、お持ちの方は目を通してみてください。
⇒ https://tokyoshobosiken.seesaa.net/article/480170929.html

 今回は、2020年に新たに追加された質問項目から2つほど回答結果を挙げておきます。「資料(グラフ)から読み取る練習」になるように、Question(質問)もつけておきましたので、簡潔に答えてみてください。

◆(応急手当を学ぶ救命講習を受けたことがないと答えた人に対して)救命講習を受けない理由(複数回答可)
・講習をやっていることを知らなかった=64.3%
・講習を受ける時間がない=25.0%
・講習に行くのが面倒=16.3%
・新型コロナウイルス感染の恐れがあったため=5.8%
・講習を受ける必要性がない=2.0%
・講習を受けなくても、応急手当ができる=1.7%
・新型コロナウイルスにより講習が実施していなかったため=1.2%
・その他=10.5%

Question.
*この回答結果から読み取れる問題を2つ(以上)挙げよ。
*それぞれの問題について、どのような取組みが必要か?


◆(応急手当を実施できないと答えた人に対して)応急手当をできない理由(複数回答可)
・自信がないから=59.9%
・かえって悪化させることが心配だから=43.9%
・何をしたらよいかわからないから=42.0%
・誤った応急手当をしたら責任を問われそうだから=26.8%
・怖いから=18.2%
・感染などが心配だから=6.7%
・その他=6.5%

Question
*この回答結果から読み取れる課題を2つ(以上)挙げよ。
*それぞれの課題について、どのような取組みが必要か?


※Questionに対する簡単な解答例は、後日、改めてアップします。
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東京消防庁T類 論文試験対策2021最新版(7)

 さて、今日はBタイプ、「組織や仕事」をめぐるテーマの答案作成について考えてみましょう。

例:「組織内のコミュニケーション不足が組織全体に与える影響をあげ、コミュニケーションを活性化させる方策について、あなたの考えを述べなさい。」(2015年2回目)
例:「組織において、個々の有する能力を発揮するために大切なことを2つあげ、あなたがどのように実践していくのか具体的に述べなさい。」(2016年2回目)
 
 こうしたテーマの答案をどう書けばよいでしょうか。 
 課題には「組織」とあるだけですが、ふつうに考えれば「消防組織」を想定すべきですよね。消防組織の中でどのようにコミュニケーションを活性化すべきか、消防組織の中で個々の消防官が能力を発揮するにはどうしたらよいか、自分消防官としてどのように実践するか……というぐあいに。これまで「組織内でのコミュニケーション」「組織内での個人の能力の発揮」がテーマになっていますが、同じ系統のキーワードとしては「組織内の情報共有」「チームワーク」「組織の規律」……なども考えられます。これらがテーマになっていたらどんなことが書けそうか、あらかじめシミュレーションしておくとよいでしょうね。
 いっぽう、形式/構成面については、すでに説明したAタイプの論文とほとんど変わりはありません。
 東京消防庁T類の論文は、書くべき内容と順序がはっきり指定されているのが特徴であり、「組織のあり方」系のデータについてもまったく同様。たとえば、2015年2回目の課題では「組織内でのコミュニケーション不足が組織全体に与える影響」→「コミュニケーションを活性化させる方策」の順ですし、2016年2回目課題では「組織において、個々の有する能力を発揮するために大切なこと(2つ)」→「あなたがどのように実践していくか」です。
 たとえば、2015年2回目試験の論文課題を例にとり、前半の内容と後半の内容をおおまかに考えてみましょう。

★組織内でのコミュニケーション不足が組織全体に与える影響
 具体的にどうなっちゃうのか、イメージしてみてください。連携がうまくとれず現場での活動でミスや遅れが増える、信頼関係が築けないのでチーム全体の士気が下がってしまう……など、いろいろな困った問題が生じるでしょう。

★コミュニケーションを活性化させる方策
 これも、自分が消防職員だったら……と具体的に想像してみれば、いろいろな方策が出てくるはず。日頃の訓練できっちりコミュニケーションをとる、ミーティング・反省会などを実施する、新人・若手に対し指導役を決める……などといったようなことから、チーム・組織での「飲み会」のようなインフォーマルな試みまで。

 さて、次に考えなくてはならないのは、答案をどのような段落構成で仕上げるか。これについても、基本的にはAタイプの答案と変わりありません。最低でも4段落以上になるように組み立てます。

例:「組織内のコミュニケーション不足が組織全体に与える影響をあげ、コミュニケーションを活性化させる方策について、あなたの考えを述べなさい。」(2015年2回目)
第1段落:「組織内でのコミュニケーション不足が組織全体に与える影響」を述べる。
     これをふまえ、次段落から「コミュニケーションを活性化させる方策」を2つに分けて述べる。
第2段落:方策その1
第3段落:方策その2
第4段落:しめくくり(最後に自らの決意表明などもつけておく)


例:「組織において、個々の有する能力を発揮するために大切なことを2つあげ、あなたがどのように実践していくのか具体的に述べなさい。」(2016年2回目)
第1段落:「組織において、個々の有する能力を発揮するために大切なこと」を2つあげる。
     次段落からそれぞれについて、具体的にどのように実践していくのかを述べる
第2段落:実践その1
第3段落:実践その2
第4段落:しめくくり(最後に自らの決意表明などもつけておく)


 書き出す前にこうしたおおまかな構成を考え、それに落とし込んでいくようにすれば、大きな失敗はせずにすむでしょう。なお、並列構造を使う場合、「コミュニケーションを活性化させる方策」や「どのように実践していくのか」の中身はなるべく明快なキャッチフレーズにして表現してください。続いて、具体的な取組事例を挙げて説明するスタイルにします。そのさい、以下のような点にも注意してください。
▲2つ(以上)のキャッチフレーズは、内容がかぶらないように設定する
 論点を分割するさいに、「これって結局同じことじゃないか」と思われてしまうような分け方では意味がありません。あくまで異なる視点で分けなくてはならないということです。
▲キャッチフレーズで示した方向性と、それに続けてあげた具体的事例の内容がずれないように気をつける
 たとえば、「日頃の訓練でしっかりコミュニケーションをとる」というポイントを先にあげたのに、いつのまにか仕事以外でのつきあいも大切にしよう……みたいな話になっていたらおかしいわけですよね。

※東京消防庁T類論文の実際の過去問については、以下のページにまとめてありますのでご覧ください。
⇒ https://tokyoshobo.uijin.com/contents03.html
※なお、実際の過去問の答案例やくわしい解説は『東京消防庁消防官T類 論文試験対策テキスト(2021年受験版)』に収録しています。内容については以下をご覧ください。参考にしていただければ幸いです。
⇒ https://tokyoshobosiken.seesaa.net/article/480170884.html
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2021年03月08日

東京消防庁T類 論文試験対策2021最新版(6)

 今回はAタイプのうち、とくに2017年〜2020年1回目にかけて続いた「グラフ読み取り形式」の課題についての注意点をまとめておきます。
 「グラフ読み取り形式」も内容的にはAタイプに属しますから、論点を2つに分割して述べるといった構成法はそっくりそのまま当てはまります。ただ、答案の最初に「グラフから読み取れる傾向や課題」を述べなくてはならない点に注意! 早合点は禁物で、出題者はいったいどのような内容を読み取ってほしいのかを冷静に考えてみる必要があります。
 たとえば、2017(平成29)年2回目試験の課題では「高齢者人口と割合の推移」の棒グラフが示されたのですが、それを見てただ高齢化のグラフだな……としか思わないようなら、出題者の意図をまったく読み取れていないことになります。なぜこのグラフが選ばれたのか。そこをよく考えないと……。
 2018(平成30)年2回目試験や2019(令和元)年1回目試験のような課題ならば、「アンケート結果」の読み取りがカギです。回答者の多い項目にこだわってください。アンケート結果を無視してどんどん書いていく、ということが決してないように。

例:「資料『救急車を呼んだ理由』から読み取れる課題と対応策について、あなたの考えを具体的に述べなさい。」(2019年1回目)

 資料(グラフ)は割愛しますが、かりにこの問題であれば、答案では指示通りに、必ず「グラフから読み取れる課題」⇒「対応策」の順に述べなくてはなりません。ただし「読み取れる課題と対応策について述べなさい」とあるだけで、「課題を2つあげなさい」といった指示はないので、

・おおまかに課題を1つだけ示し、続けて対応策を2つ(以上)に分けて述べる
・最初から課題を複数示し、それぞれについて対応策を述べる

 
 どちらの構成を用いても構わないことになりますよね。(自分にとって書きやすいほうでOK。)
 かりに課題を1つだけ示し、対応策を2つに分けるのであれば、

第1段落:グラフから読み取れる課題をあげる
第2段落:課題への具体的な対応策−1
第3段落:課題への具体的な対応策―2
第4段落:まとめ・しめくくり


 このような4段落構成が最もシンプルなかたちになります。あるいは、火災に関する現状をまとめて述べた「前置き(テーマの背景)」の段落を最初に置いて、

第1段落:前置き・導入部分(=火災をめぐる現状)
第2段落:グラフから読み取れる課題をあげる
第3段落:課題への具体的な対応策―1
第4段落:課題への具体的な対応策―2
第5段落:まとめ・しめくくり


 としても構いません。
 一方、最初から「読み取れる課題」をはっきり2つに分け、それぞれに「対応策」を述べるのであれば、

第1段落:グラフから読み取れる課題−1
第2段落:課題―1への対応策
第3段落:グラフから読み取れる課題−2
第4段落:課題―2への対応策
第5段落:まとめ・しめくくり
  

 たとえばこんな段落構成になるでしょうね。

 Aタイプの論文課題への対策はここまで。次回はBタイプ(「組織や仕事」に関わるテーマ)への対策を考えてみることにします。


※東京消防庁T類論文の実際の過去問については、以下のページにまとめてありますのでご覧ください。
⇒ https://tokyoshobo.uijin.com/contents03.html
※なお、実際の過去問の答案例やくわしい解説は『東京消防庁消防官T類 論文試験対策テキスト(2021年受験版)』に収録しています。内容については以下をご覧ください。参考にしていただければ幸いです。
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2021年03月07日

東京消防庁 令和2年中の火災の概要

 3月4日、東京消防庁のHPで「令和2年中の火災の概要について」という資料が公表されました。
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/saigai/toukei/index.html
 (総務省消防庁による)全国の火災関連データについてはすでにご紹介しましたが、東京消防庁管内の最新データもぜひ見ておきましょう。

<東京消防庁管内の火災/令和3(2021)年>
・令和2(2020)年の火災件数は3694件。前年に比べ395件減。東京消防庁が消防事務の受託を開始した昭和35(1960)年以降で最少。
・令和2(2020)年の火災のうち、建物から出火した火災は2600件。そのうち約6割(1555件)が住宅火災。
・住宅火災の出火原因として最多なのは「ガステーブル(ガスこんろ)等」(384件)。以下、「たばこ」(204件)「放火」(144件)が続く。「ガステーブル(ガスこんろ)等」を出火原因とする火災が前年に比べ2割も増加。(新型コロナウイルス感染症の影響で自宅で過ごす時間が増えたため。)
・一方、飲食店火災は244件で前年の368人に対して大きく減少。(新型コロナウイルス感染症拡大に伴う休業や時短営業などが影響したと考えられる。)
・自殺を除く火災による死者(78 人)の7割以上が65歳以上の高齢者(58人)。とくに75歳以上の後期高齢者(42人)が非常に多く、全体の半数以上を占める。
・死者が出た火災の出火原因は「たばこ」(13人)が最多。「放火(疑い含む)」(10人)「電気ストーブ」(8人)がそれに続く。
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東京消防庁T類 論文試験対策2021最新版(5)

 Aタイプの論文答案に「東京消防庁の取組み」をどの程度詳しく具体的に書き込むべきなのか、という質問をよくされるので、その点について筆者なりに答えておきましょう。
 確かに、取組みの内容があいまい・あやふやであったり、実現性のない単なる思いつきであったりすると説得力がありません。実際に東京消防庁が進めている取組みについては、(ものすごく細かくではなくても)ある程度知っておくべきです。
 東京消防庁の取組みを知るうえで、
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/portal/data/keikaku.pdf
 このような資料がまとまっていて便利だったのですが、残念ながら2017年のものなので内容的に少し古くなってしまっています。
 もうすこし新しい情報までカバーするのなら、「東京の消防白書(2019年版)」などで探すほうが確実ですね。
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/hp-kikakuka/gyouseigaiyou/hakusyo2019.html
 なお、具体的な取組み事例を答案中に盛り込む場合は、「東京消防庁はいま○○○に取り組んでいる。」のように、ただ事実を並べるだけだとまずいので気をつけて! 論文というのはあくまで自分自身の考えを述べるもの。たとえば、「こうした取組みをさらに強化していくべきだ(と私は考える)。」のように、あくまで自分の考えとして述べておくようにしてください。
 東京消防庁がいま進めている取組みをベースに、それを別の分野にも応用する・別の面からのアプローチも考えてみる……といった提案ができれば、いっそう説得力が増すでしょうね。(ただ、そのレベルまでは求められません。)

※東京消防庁T類論文の実際の過去問については、以下のページにまとめてありますのでご覧ください。
⇒ https://tokyoshobo.uijin.com/contents03.html
※なお、実際の過去問の答案例やくわしい解説は『東京消防庁消防官T類 論文試験対策テキスト(2021年受験版)』に収録しています。内容については以下をご覧ください。参考にしていただければ幸いです。
⇒ https://tokyoshobosiken.seesaa.net/article/480170884.html
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2021年03月06日

東京消防庁T類 論文試験対策2021最新版(4)

 Aタイプの論文対策の続きです。今回は冒頭段落の内容について、すこし補足しておきたいと思います。
 公務員論文(行政論文)では、与えられたテーマに関する「現状(や背景、事実経過)」を最初の段落に述べるというスタイルがよく採られます。したがって、東京消防庁消防官T類のAタイプ論文の場合にも、たとえば「少子高齢化が社会に及ぼす影響」に先立ち、冒頭段落に「少子高齢化の現状」を短くまとめて述べておく手もあるわけです。
 その場合は、以下のような5段落構成がイメージされるでしょうね。

例:「少子高齢化が社会に及ぼす影響をあげ、それに対する消防行政の取組みについて、あなたの考えを述べなさい。」(2014年2回目)
第1段落:少子高齢化の現状をデータ(数字)などをあげて述べる
第2段落:少子高齢化が社会に及ぼす影響として「災害や事故における高齢者の被害の増加」「地域における防災力の低下」をあげる
     これをふまえ、次段落から消防行政の取組みを2つに分けて述べる。
第3段落:高齢者の安全を守る取組み→その具体的事例
第4段落:地域の防災力を高める取組み→その具体的事例
第5段落:しめくくり(最後に自らの決意表明も付け加える)


例:「先般発生した、平成28年熊本地震における災害について、あなたが問題と感じることを2つあげ、その解決方策について述べなさい。」(2016年1回目)
第1段落:熊本地震の概要をまとめて述べる
第2段落:熊本地震での「問題」をはっきり2つあげる
     次の段落からそれぞれの問題に対する解決策を述べる
第3段落:問題1→それに対する解決策
第4段落:問題2→それに対する解決策
第5段落:しめくくり(最後に自らの決意表明も付け加える)


 もちろん、出題者はまず「問題」を挙げるように指示しているわけですから、最初の段落で「問題」を述べる書き方でよいのですが、さらにその前に短い冒頭段落を置き、「現状」や「事実経過」だけをまとめて述べる書き方にもメリットはあります。基本的にただ「現状」「事実」を述べるだけなので、簡単に書けて字数をかせげるというのもその一つ。(簡単に書けるといっても、もちろん「現状」「事実」に関する知識はあらかじめストックしておく必要がありますが。)
 現状を述べる段落ではできれば具体的な数字や日付も盛り込むとよいでしょう。細かい数字をたくさんあげる必要はありませんが、印象の強い数字だけをさらっと入れておく感じ。「日本の高齢化率は約29%に達しており」「2019年のわが国の人口の自然減は約51.6万人」といったぐあい。やはり説得力が違いますからね。いうわけで、主要なデータ(数字など)は事前にチェックしておきましょう。(なるべく最新のデータを! 5年も10年も前の数字を挙げられても困ります。)
 いったいどのようなデータを調べておくとよいのか。テーマごとにその例をあげてみます。

◆少子高齢化:高齢化率 合計特殊出生率 人口の減少数(とくに自然減) 将来の推計人口……
◆火災:住宅火災の主要な原因の順位 火災死者のうち高齢者が占める割合 住警器の普及率……
◆救急:救急出場件数の推移(とくに東京消防庁管内) 現場到着や病院到着までの平均時間の推移…… 
◆情報化:インターネットや携帯電話・スマホの普及率(とくに年代による違い)……
◆災害:近年の大規模災害の名称と発生時期
→東日本大震災(2011年3月11日)や熊本地震(2016年4月)、西日本豪雨(2018年7月)、令和元年台風19号(2019年10月12日上陸)、令和2年7月豪雨(2020年7月)……など、答案に書くのなら名称や時期を間違えないように!


 また近い将来に起きるといわれている首都直下地震や南海トラフ巨大地震の想定被害規模などの数字もできればチェックしておきましょう。
 これらのデータ(数字)を調べる過程で、自然と「現状」「事実経過」に言及したさまざまな文例にもふれることになり、第1段落を書くときには大いに参考になるでしょう。
 次回はAタイプの論文答案に、東京消防庁の取組みをどのくらい盛り込むべきかを考えてみます。

※東京消防庁T類論文の実際の過去問については、以下のページにまとめてありますのでご覧ください。
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2021年03月05日

東京消防庁 令和3年度職員採用パンフレット

 東京消防庁の職員採用ページで、令和3年度職員採用パンフレットがダウンロードできるようになっていますが、みなさんはすでにご覧になりましたか。
https://tfd-saiyo.jp/request/
 パンフレットの8ページ〜20ページにかけて、ポンプ隊、特別救助隊、救急隊、予防係、防災安全係、指令室、ハイパーレスキュー……などさまざまな持ち場で働く職員の記事が掲載されています。もちろんメインは「仕事内容の紹介」なのですが、よく読むと「消防官(東京消防庁)を志望した動機」「仕事に求められるスキル、能力」についての言及も多く、面接試験対策の観点からもたいへん参考になると思います。この13ページ分は一通りすべて読んでみてくださいね。
 あとあと付箋をつけたりメモしたりできるように、パンフレットをプリントアウトするか、または紙の現物を入手することをおすすめします。
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東京消防庁T類 論文試験対策2021最新版(3)

 東京消防庁消防官T類の論文試験での制限字数は800字以上〜1200字程度。大半の受験者は1200字近くまで埋めていますから、途中で書くことがなくなる事態は絶対に避けなくてはなりません。そのためには、論点を2つ(以上)に分けて述べるべきです。論点を2つあげるように求められることもありますが、そうでなくても、とらえ方の異なる論点をしっかり2つ設定し、それぞれ具体的な事例を盛り込んで書くようにふだんから心がけておきましょう。。
 具体的な段落配置としては、たとえば以下のように、最低でも4段落以上で組み立てるようにするとよいですね。

例:「少子高齢化が社会に及ぼす影響をあげ、それに対する消防行政の取組みについて、あなたの考えを述べなさい。」(2014年2回目)

第1段落:「少子高齢化が社会に及ぼす影響」をあげる
     これをふまえ、次段落から消防行政の取組みを2つに分けて述べる。 *たとえば「高齢者の安全を守る取組み」+「地域の防災力を高める取組み」とか。
第2段落:高齢者の安全を守る取組み→その具体的事例
第3段落:地域の防災力を高める取組み→その具体的事例
第4段落:しめくくり(最後に自らの決意表明も付け加える)


例:「先般発生した、平成28年熊本地震における災害について、あなたが問題と感じることを2つあげ、その解決方策について述べなさい。」(2016年1回目)

第1段落:「熊本地震での問題」をはっきり2つあげる
     次の段落からそれぞれの問題に対する解決策を述べる
第2段落:問題1→それに対する解決策
第3段落:問題2→それに対する解決策
第4段落:しめくくり(最後に自らの決意表明も付け加える)


 書き出す前にこうしたおおまかな構成を考え、それに落とし込んでいくようにすれば、大きな失敗はせずにすみます。なお、並列構造を使う場合、「高齢者の安全を守る取り組み」「地域の防災力を高める取り組み」のような(解決策・取組みの)カテゴリをわかりやすい言い方で示し、それぞれ具体的な事例を挙げて説明するスタイルにします。そのさいは以下のような点に注意しましょう。
▲内容がかぶらないようにカテゴリを設定する
 論点を分割するさいに、「これって結局同じことじゃないか」と思われてしまうようでは意味がありません。あくまで違う視点にたって分けなくてはならないということです。
▲カテゴリと具体的事例の内容がずれないように気をつける
 たとえば、「地域の防災力を高める取組み」を述べているはずなのに、具体的事例がどうもそのカテゴリにあてはまっていないといったミスがしばしば見受けられます。
(次回に続く)

※東京消防庁T類論文の実際の過去問については、以下のページにまとめてありますのでご覧ください。
⇒ https://tokyoshobo.uijin.com/contents03.html
※なお、実際の過去問の答案例やくわしい解説は『東京消防庁消防官T類 論文試験対策テキスト(2021年受験版)』に収録しています。内容については以下をご覧ください。参考にしていただければ幸いです。
⇒ https://tokyoshobosiken.seesaa.net/article/480170884.html
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2021年03月04日

東京消防庁T類 論文試験対策2021最新版(2)

〜(1)から続く〜
 まずAタイプの論文課題を取り上げます。こうした課題(たとえば「防災」「少子高齢化」「国際化」……など)で書く場合には、ある程度の予備知識はどうしても必要です。テーマごとに現状や課題、主要な取り組みなどをまとめてインプットする努力はおこたらないでくださいね。
 それでは、答案の組み立て方を説明します。東京消防庁T類の論文では基本的に「社会に及ぼす影響」+「消防行政の取組み」とか、「問題点/課題」+「解決策/取組み」というふうに、前半と後半に書くべき内容がハッキリと分けて指定されています。したがって、それぞれどのような内容を書くべきかをしっかり検討する必要があります。
 実際の過去問題を取り上げてみましょう。

「少子高齢化が社会に及ぼす影響をあげ、それに対する消防行政の取組みについて、あなたの考えを述べなさい。」(2014年2回目)

 いかがでしょう。指示はたいへん明確です。まず「少子高齢化が社会に及ぼす影響」を述べ、続けて「それに対する消防行政の取組み」を述べればよいのです。
 
★「少子高齢化が社会に及ぼす影響」
 「労働力不足→経済規模縮小」などが思いつきやすいのですが、ちょっと待ってください。あくまで「消防行政」の観点、すなわち消防の仕事に関連する影響を考えるべきですよね。
 たとえば、
・災害や事故における高齢者の被害の増加
 などがあげられるでしょう。事実、人口構成の高齢化の影響で、地震・豪雨などの自然災害や火災による死者のうち高齢者が占める割合は近年、非常に高まっています。
 他には何があるでしょう?
 高齢者が増える一方、若者や働き盛りの世代が減っていく。それは、いざというときに地域の安全を守る力が弱まっていくということですね。事実、地域防災の担い手である消防団員数の減少・団員の高齢化はかなり深刻になっています。
・地域における防災力の低下
 こうした面も見過ごせません。

★それに対する消防行政の取組み
 「それに対する」という表現に気をつけてください。最初に述べた「影響」にきっちり対応する取組みを述べなくてはなりません。たとえば、社会的影響として「社会保障制度の維持が困難になる」といった内容をあげて、それに対する取組みとして「若い世代の消防団員を増やす」と述べても全然意味がわかりませんよね。
 先にあげた影響を例にとれば、
(少子高齢化が社会に及ぼす影響)災害や火災における高齢者の被害の増加
→(それに対する消防行政の取組み)住警器の普及を促進する、災害時要援護者名簿の共有・活用を図る、高齢者向けの防災訓練・防災教育をくふうする……

(少子高齢化が社会に及ぼす影響)地域における防災力の低下
→若い世代の防災の担い手を増やす(サラリーマン、学生、女性の消防団員を増やす)……


 というぐあいに、「影響」と「消防行政の取組み」がきちんとかみ合うように考えてみることが大切です。
 もう一つやってみましょうか。

「住民の防災への意識を高めるための現状の課題をあげ、消防職員としてどのような取組みが必要か、あなたの考えを述べなさい。」(2015年1回目)

★住民の防災への意識を高めるための現状の課題
・防災において重要な役割を果たす地域コミュニティが衰退してきている ⇒どうやって地域での防災意識を高めていくか
・大規模災害をきっかけに一時的に防災への関心が高まっても、時間がたつと危機感が薄れてしまう ⇒ どうやって高い関心を保つか
・高齢者や外国人など災害時要配慮者の増加 ⇒ 彼らの安全を守る対策をどのように進めていくか

 ……などなど。

★消防職員としてどのような取組みが必要か
・消防団員の増員
・学校での総合防災教育
・防災訓練の内容の工夫
・要配慮者対策の強化

 ……などなど。

 それでは次回は、論文全体の構成(つまり段落の配置)をどうするのかという点について考えてみます。

※東京消防庁T類論文の実際の過去問については、以下のページにまとめてありますのでご覧ください。
⇒ https://tokyoshobo.uijin.com/contents03.html
※なお、過去問の答案例やくわしい解説は『東京消防庁消防官T類 論文試験対策テキスト(2021年受験版)』に収録しています。内容については以下をご覧ください。参考にしていただければ幸いです。
⇒ https://tokyoshobosiken.seesaa.net/article/480170884.html
posted by TP at 07:00| 論文試験対策 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする