2021年03月15日

東京消防庁T類 論文試験練習用課題(対策問題)−1

 東京消防庁T類消防官の論文試験の出題傾向をふまえた練習用課題の一つめを提示します。2017年1回目試験から7回連続で出された「資料・グラフを読み取って論述する」タイプです。自分ならどのように答案を構成するか、ぜひ考えてみてください。

「資料『消防団員の年齢構成比率の推移』から読み取れる課題と対応策について、あなたの考えを具体的に述べなさい。」(800字以上〜1200字程度)

【消防団員の年齢構成比率の推移】(R2消防白書より)
tokei.png

※グラフが小さくて見えない場合は「新しいタブで開く」で表示するか、あるいは以下のファイルを開いて「特集3-2図 消防団員の年齢構成比率の推移」のグラフをご覧ください。
https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/r2/items/special3.pdf

[答案作成のヒント]
 与えられたテーマから、「読み取れる課題」+「対応策」を述べればよいことがわかります。答案の組み立てとして最もシンプルなのは、

(1)読み取れる課題
(2)対応策−1
(3)対応策−2
(4)まとめ

 このような4段落構成でしょう。
 もちろん、

(1)読み取れる課題−1
(2)それへの対応策−1
(3)読み取れる課題−2
(4)それへの対応策−2
(5)まとめ

 ……というふうに課題を2つに分割することもできますし、また、

(1)「消防団」をめぐる現状
(2)読み取れる課題
(3)対応策−1
(4)対応策−2
(5)まとめ

 このように「現状」を簡単にまとめた段落を冒頭に置く手もあります。

 「課題」「対応策」の中身については、以下のような点にくれぐれも留意しましょう。

★課題を読み取るさいには、なぜこのグラフ(「年齢構成比率」)が示されているのかをよく考えてください。出題者はこのグラフからどんな課題を読み取ってほしいのでしょうか。このグラフと無関係の内容を述べてはなりません。

★並列構造を用いて「対応策」(や「課題」)を2つに分割するさいには、適切な組合せになるように気をつけてください。たとえば、2つあげた「対応策」が、よくよく考えるとほとんど同じことだった(かなり重なりあう内容だった)……といったミスを犯さないように。


※答案例と解説は約1週間後、論文試験対策テキストをお持ちの方を対象とする「追加・訂正ブログ」上にアップする予定です。(アップすればこちらのブログでもお知らせします。)
※答案の構成のしかたについては、すでに「論文試験対策2021最新版(全10回)」の記事(3月3日〜3月12日にかけて掲載)でくわしく取り上げていますので、ご参照ください。
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2021年03月13日

Questionの解答例・解説(論文試験対策)

※この記事は、以下の記事の「続き」です。
⇒ https://tokyoshobosiken.seesaa.net/article/480390856.html

◆(応急手当を学ぶ救命講習を受けたことがないと答えた人に対して)救命講習を受けない理由(複数回答可)
Question.
*この回答結果から読み取れる問題を2つ(以上)挙げよ。
*それぞれの問題について、どのような取組みが必要か?

<解説>
 まず、「講習をやっていることを知らなかった」という回答が64.3%もあることから、すぐに思い浮かぶ問題は「救命講習について知られていない/救命講習の認知度が低い」ことでしょう。この問題に対する取組としては、
・救命講習への参加を促す広報を強化する(具体的には、学校や公共施設、民間事業者の店舗などでの掲示、マスメディアやSNSの活用……など)
 という感じになります。
 それではもうひとつの問題は何でしょうか?
 多くの人が選んだ回答から考えるのが自然です。そこで、2番目に多かった「講習を受ける時間がない」(25.0%)に着目するなら、「時間(や日程)が合わなくて参加できない人が多い/参加しやすい時間帯に行われていない」といった問題を挙げることができます。この問題に対する取組は、
・講習を行う時間帯を多様化する
・実施回数や会場をもっと増やす
・参加時間を短縮する
・WEBでの受講を促す

  ……といった線が考えられるでしょう。
 もちろん、応急手当には実技講習が必要なので、WEB(オンライン)学習だけで完結させるのは難しいわけですが、WEB上で学習映像の視聴者を増やせば、結果的に実技講習への参加者も増えるだろうと思います。
 ちなみに、東京消防庁では事前に電子学習することで会場での参加時間を減らす「短縮救命講習/インターネット併用講習」が行われており、学校や事業所などでこのしくみが活用されてきました。現在は、個人でも短縮講習に参加できます。(会場は限られますが……。)
→ https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/kyuu-adv/tanshuku.html
 その他、「講習に行くのが面倒」(16.3%)という回答に着目し、「会場に出向く負担感が大きい」といった問題を挙げることもできるでしょうね。それに対する取組みも具体的に示しやすいと思います。

◆(応急手当を実施できないと答えた人に対して)応急手当をできない理由(複数回答可)
Question
*この回答結果から読み取れる課題を2つ(以上)挙げよ。
*それぞれの課題について、どのような取組みが必要か?

<解説>
 こちらも、選んだ人が多い項目から考えてみます。「自信がないから」「かえって悪化させることが心配だから」を選んだ人が多いことは、一通りの知識をもっていても、実際に行動するとなるとなかなか自信がもてない人が多いということを意味しています。したがって、課題を挙げるとすれば、「一定の知識をもつ人が現場で自信をもって手当できるようにすること」といった方向になるでしょうか。そのための取組としては、
・講習の内容をより実践的なものにする
・(すでに講習を受けた人に)再講習、ステップアップ講習の受講を促す

 ……といった線が考えられます。
 また、「何をしたらよいかわからないから」と回答した人は上位2つとは微妙に異なり、そもそも応急手当の知識、経験がまったくないわけでしょうね。したがって、これに着目するのなら課題は「応急手当の知識、経験をもつ人を増やすこと」=「講習参加者を増やすこと」でよいことになります。参加者を増やすための取組ならば、すでに先の項目でも挙げたように、広報の強化、時間帯や会場の多様化……といった線で十分です。
 一方、選んだ人の割合はそれほど多くないのですが「誤った応急手当をしたら責任を問われそうだから」(26.8%)「怖いから」(18.2%)「感染などが心配だから」(6.7%)といった回答も気になりますね。応急手当をする場合、自分自身がケガや感染をするかもしれない、あるいは手当した相手方から訴えられたりするかもしれない……という不安は当然、生じるでしょう。それらのリスクに対し、「安心して/不安なく」応急手当ができるようにすることも課題になります。
 もしこの点を取り上げて論述するのであれば、東京消防庁が2015年に創設した「バイスタンダー保険制度」をふまえておくべきでしょう。この保険制度はおもに、応急手当をした人自身がケガや感染をした場合、見舞金などを支給するという内容。ただし、それとは別に、応急手当をした人が傷病者やその家族から損害賠償請求をされたケースでも、法律相談のための見舞金を支給することになっています。
→ 参考:https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/hp-kouhouka/pdf/270903_2.pdf
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2021年03月12日

東京消防庁T類 論文試験対策2021最新版(10)

 「東京が直面している課題」「都民が東京消防庁に期待していること」などをまず挙げ、それをふまえて「消防官としてどう取り組むか」を後段に述べるといったテーマも想定しておきましょう。(Dタイプ。具体的には2011年2回目・2010年1回目などが典型です。ちょっと古いパターンなのですが、復活するかもしれないので。)
 このタイプの論文では、まず「東京の課題」「東京消防庁に期待されること」をきちんと示す必要がありますが、ここで注意したいのはあくまで「東京」ならでは・「東京消防庁」ならではの課題を考えるべきだという点。「生命を守る」「安全を守る」みたいな、漠然とした内容では不十分でしょう。たとえば、

★人口や産業が集中する東京では、災害・事故が発生したときの被害が大きくなりがちだ。さらに、社会環境の変化や世界的な気候変動などを背景に、災害や事故は多様化しつつあるので、防災防火対策に万全を期す必要がある。
★官庁・オフィス街、高層マンション、木造住宅密集地帯……など、首都東京には多種多様なエリアが存在するので、それぞれの地域特性に応じた防災・減災対策を着実に進めていく必要がある。
★外国人住民が増加しているので、日本語を母語としない人々の安全を守る対策の強化が急務だ。
★近い将来、高い確率で首都直下地震の発生が予想されている。東京消防庁としても地域住民や民間事業者との連携を強化し、首都直下地震の被害を最小化するための取り組みを全力で進めていかねばならない。


 ……などなど、あくまで「東京」「東京消防庁」ならでは課題を明確にし、具体的な取り組みを述べていくように心がけてください。
 そのためにも「東京の消防白書」「東京消防庁重点施策」などの資料の読み込みはきちんと行っておきたいものです。こちらで作成している「東京消防庁T類 論文試験対策資料集」もぜひ参考にしてみてください。
⇒ https://tokyoshobosiken.seesaa.net/article/480170929.html

 全体の段落構成は、おなじみの並列構造を使えばきれいに整理されたかたちになるでしょう。たとえば、

 ・東京の現状と、都民が東京消防庁に期待していること
→・これからの取り組み1
→・これからの取り組み2
 …といった具合ですね。


※東京消防庁T類論文の実際の過去問については、以下のページにまとめてありますのでご覧ください。
⇒ https://tokyoshobo.uijin.com/contents03.html
※なお、実際の過去問の答案例やくわしい解説は『東京消防庁消防官T類 論文試験対策テキスト(2021年受験版)』に収録しています。内容については以下をご覧ください。参考にしていただければ幸いです。
⇒ https://tokyoshobosiken.seesaa.net/article/480170884.html
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2021年03月11日

東京消防庁T類 論文試験対策2021最新版(9)

 Cタイプの答案で、最もシンプルな構成は、

(前半)
 冒頭段落:「学んだこと」の中身を端的に提示
  ↓
 第2段落〜:それを裏付ける経験談をストーリーにして述べる
(後半)
 「学んだこと」の中身を再度明示したうえで、「消防官としてどのように活かしていくか」を述べる
  ↓
  最後に「決意表明・抱負」を述べてしめくくる


 ……といったものでしょう。
 字数・段落数を増やすには、経験談のところをいくつかの段落に分け、くわしく書いていけばよいのです。
 その他、AタイプやBタイプの答案で取り上げた「並列構造」を使う手もありますよ。
 たとえば、「学んだこと」=「正確な情報伝達能力」として答案を書くとすれば、

 私が経験を通して学んだ「正確な情報伝達能力」を消防官としてどのように活かしていくか
 →第一に、チームや組織の中で活かすことができる。具体的には〜〜〜
  第二に、住民や民間事業者との関係において活かすことができる。具体的には〜〜〜


 ……というふうに「消防官としてどう活かすか」の内容を分けて述べていってはどうでしょう。
 むろん、思い切って「学んだこと」自体を並列構造で処理してしまうこともできますね。

 学んだことその1→裏付ける経験談→これからどのように活かしていくか
 学んだことその2→裏付ける経験談→これからどのように活かしていくか


 こんなふうな構造にすれば、全体が最低でも6パーツ(段落)になりますから、ネタ切れ・字数不足の心配はなさそうです。
 それでは、次回は残るDタイプの論文への対策を取り上げてみることにします。

※東京消防庁T類論文の実際の過去問については、以下のページにまとめてありますのでご覧ください。
⇒ https://tokyoshobo.uijin.com/contents03.html
※なお、実際の過去問の答案例やくわしい解説は『東京消防庁消防官T類 論文試験対策テキスト(2021年受験版)』に収録しています。内容については以下をご覧ください。参考にしていただければ幸いです。
⇒ https://tokyoshobosiken.seesaa.net/article/480170884.html
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2021年03月10日

東京消防庁T類 論文試験対策2021最新版(8)

 今回からはCタイプ、ある特定のテーマ、視点に関連して、「自らの経験」を踏まえて考えを述べるタイプの論文について、答案作成のコツを考えてみます。ちなみにこの系統のテーマ、近年はずっと出ていませんが、ひょっとして……ということも。それに、東京消防庁以外の併願先でこのタイプに出くわす可能性もあるので、ぜひ備えておきましょう。
 このタイプは「経験」を踏まえて述べるので、論文というよりは「作文」なのですが、だからといって書くのがラクだとも言いきれません。例として、2013年2回目の論文課題を取り上げてみます。

「あなたが今までに最も困難だと感じた経験から学んだことをあげ、それをこれからどのように活かしていくか述べなさい。」(2013年2回目)
 指示そのものは非常に明快ですよね。「今までに最も困難だと感じた経験から学んだこと」→「それをこれからどのように活かしていくか」という順序で述べればいい。
 留意すべきは、以下のような点でしょう。

★「学んだこと」の中身を端的に、わかりやすく示す
 「困難を感じた経験」が細かく述べられているのに、肝心の「学んだこと」の中身がはっきりしない、というのでは困ります。じゃあその中身をどう表現するかですが、これは消防官(を目指すもの)の立場から考えてみてください。「これからどのように活かしていくか」というのは、むろん東京消防庁消防官としてどのように活かすか、です。だとすると、「学んだこと」の中身は、可能な限り消防官の職務や消防官に求められる資質という観点から考えなくてはなりません。具体的には、「高度なチームワークを築く方法」「つねに冷静な判断と行動」「正確な情報伝達能力」「実践を想定した訓練の重要性」……など、消防官(救急隊員)の職務に直結するようなものにすべきだということです。
 
★「学んだこと」にぴったり整合した経験談を述べる
 言うまでもありませんが、この点もよくよく気をつけてくださいね。たとえば「チームワークのあり方」を学んだのであれば、それを裏付ける経験談はチームのメンバーとの関係性に焦点を当てて述べることになるでしょう。一方、「正確な情報伝達のあり方」を学んだのであれば、経験談では具体的なことばの使い方・話し方に焦点を当てることになります。まず「学んだこと」の中身をしっかり決めてから、それに沿うように自らの経験を述べるようにしましょう。

★経験談にストーリー性をもたせる
 経験談の述べ方にも暗黙の定型があります。当初はうまくいかない状態だった→問題点や課題を洗い出した→改善策を実行した→成果を上げた というストーリーにして語るのがお約束ですよね。消防官の職務の性質を考えるなら、「改善策の実行」は単独行動ではなく、チームのメンバーと力を合わせて実行した事例が望ましいでしょう。(そのうえで自分自身がリーダーシップをとり、率先して行ったという状況ならなおよし。)
 
 答案の前半に「学んだこと」+「裏付ける経験」がきっちり述べられ、後半にそれを受け「(消防官として)どのように活かしていくか」が述べられていれば、とりあえずOK。
 では、次回は全体的な展開・段落構成について取り上げてみることにします。

※東京消防庁T類論文の実際の過去問については、以下のページにまとめてありますのでご覧ください。
⇒ https://tokyoshobo.uijin.com/contents03.html
※なお、実際の過去問の答案例やくわしい解説は『東京消防庁消防官T類 論文試験対策テキスト(2021年受験版)』に収録しています。内容については以下をご覧ください。参考にしていただければ幸いです。
⇒ https://tokyoshobosiken.seesaa.net/article/480170884.html
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2021年03月09日

「消防に関する世論調査(令和2年)」の公表

 東京消防庁が「消防に関する世論調査(令和2年)」を公表しました。
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/yoron/yoronR02.html
 
 東京消防庁消防官1類採用試験では、これまでに3回(2017年1回目、2018年2回目、2019年1回目)、「消防に関する世論調査」のアンケ―ト結果(グラフ)を読み取って論述させる課題が出題されています。とくに気になる項目は「東京消防庁T類採用試験論文試験対策資料集」p.16〜にまとめていますので、お持ちの方は目を通してみてください。
⇒ https://tokyoshobosiken.seesaa.net/article/480170929.html

 今回は、2020年に新たに追加された質問項目から2つほど回答結果を挙げておきます。「資料(グラフ)から読み取る練習」になるように、Question(質問)もつけておきましたので、簡潔に答えてみてください。

◆(応急手当を学ぶ救命講習を受けたことがないと答えた人に対して)救命講習を受けない理由(複数回答可)
・講習をやっていることを知らなかった=64.3%
・講習を受ける時間がない=25.0%
・講習に行くのが面倒=16.3%
・新型コロナウイルス感染の恐れがあったため=5.8%
・講習を受ける必要性がない=2.0%
・講習を受けなくても、応急手当ができる=1.7%
・新型コロナウイルスにより講習が実施していなかったため=1.2%
・その他=10.5%

Question.
*この回答結果から読み取れる問題を2つ(以上)挙げよ。
*それぞれの問題について、どのような取組みが必要か?


◆(応急手当を実施できないと答えた人に対して)応急手当をできない理由(複数回答可)
・自信がないから=59.9%
・かえって悪化させることが心配だから=43.9%
・何をしたらよいかわからないから=42.0%
・誤った応急手当をしたら責任を問われそうだから=26.8%
・怖いから=18.2%
・感染などが心配だから=6.7%
・その他=6.5%

Question
*この回答結果から読み取れる課題を2つ(以上)挙げよ。
*それぞれの課題について、どのような取組みが必要か?


※Questionに対する簡単な解答例は、後日、改めてアップします。
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東京消防庁T類 論文試験対策2021最新版(7)

 さて、今日はBタイプ、「組織や仕事」をめぐるテーマの答案作成について考えてみましょう。

例:「組織内のコミュニケーション不足が組織全体に与える影響をあげ、コミュニケーションを活性化させる方策について、あなたの考えを述べなさい。」(2015年2回目)
例:「組織において、個々の有する能力を発揮するために大切なことを2つあげ、あなたがどのように実践していくのか具体的に述べなさい。」(2016年2回目)
 
 こうしたテーマの答案をどう書けばよいでしょうか。 
 課題には「組織」とあるだけですが、ふつうに考えれば「消防組織」を想定すべきですよね。消防組織の中でどのようにコミュニケーションを活性化すべきか、消防組織の中で個々の消防官が能力を発揮するにはどうしたらよいか、自分消防官としてどのように実践するか……というぐあいに。これまで「組織内でのコミュニケーション」「組織内での個人の能力の発揮」がテーマになっていますが、同じ系統のキーワードとしては「組織内の情報共有」「チームワーク」「組織の規律」……なども考えられます。これらがテーマになっていたらどんなことが書けそうか、あらかじめシミュレーションしておくとよいでしょうね。
 いっぽう、形式/構成面については、すでに説明したAタイプの論文とほとんど変わりはありません。
 東京消防庁T類の論文は、書くべき内容と順序がはっきり指定されているのが特徴であり、「組織のあり方」系のデータについてもまったく同様。たとえば、2015年2回目の課題では「組織内でのコミュニケーション不足が組織全体に与える影響」→「コミュニケーションを活性化させる方策」の順ですし、2016年2回目課題では「組織において、個々の有する能力を発揮するために大切なこと(2つ)」→「あなたがどのように実践していくか」です。
 たとえば、2015年2回目試験の論文課題を例にとり、前半の内容と後半の内容をおおまかに考えてみましょう。

★組織内でのコミュニケーション不足が組織全体に与える影響
 具体的にどうなっちゃうのか、イメージしてみてください。連携がうまくとれず現場での活動でミスや遅れが増える、信頼関係が築けないのでチーム全体の士気が下がってしまう……など、いろいろな困った問題が生じるでしょう。

★コミュニケーションを活性化させる方策
 これも、自分が消防職員だったら……と具体的に想像してみれば、いろいろな方策が出てくるはず。日頃の訓練できっちりコミュニケーションをとる、ミーティング・反省会などを実施する、新人・若手に対し指導役を決める……などといったようなことから、チーム・組織での「飲み会」のようなインフォーマルな試みまで。

 さて、次に考えなくてはならないのは、答案をどのような段落構成で仕上げるか。これについても、基本的にはAタイプの答案と変わりありません。最低でも4段落以上になるように組み立てます。

例:「組織内のコミュニケーション不足が組織全体に与える影響をあげ、コミュニケーションを活性化させる方策について、あなたの考えを述べなさい。」(2015年2回目)
第1段落:「組織内でのコミュニケーション不足が組織全体に与える影響」を述べる。
     これをふまえ、次段落から「コミュニケーションを活性化させる方策」を2つに分けて述べる。
第2段落:方策その1
第3段落:方策その2
第4段落:しめくくり(最後に自らの決意表明などもつけておく)


例:「組織において、個々の有する能力を発揮するために大切なことを2つあげ、あなたがどのように実践していくのか具体的に述べなさい。」(2016年2回目)
第1段落:「組織において、個々の有する能力を発揮するために大切なこと」を2つあげる。
     次段落からそれぞれについて、具体的にどのように実践していくのかを述べる
第2段落:実践その1
第3段落:実践その2
第4段落:しめくくり(最後に自らの決意表明などもつけておく)


 書き出す前にこうしたおおまかな構成を考え、それに落とし込んでいくようにすれば、大きな失敗はせずにすむでしょう。なお、並列構造を使う場合、「コミュニケーションを活性化させる方策」や「どのように実践していくのか」の中身はなるべく明快なキャッチフレーズにして表現してください。続いて、具体的な取組事例を挙げて説明するスタイルにします。そのさい、以下のような点にも注意してください。
▲2つ(以上)のキャッチフレーズは、内容がかぶらないように設定する
 論点を分割するさいに、「これって結局同じことじゃないか」と思われてしまうような分け方では意味がありません。あくまで異なる視点で分けなくてはならないということです。
▲キャッチフレーズで示した方向性と、それに続けてあげた具体的事例の内容がずれないように気をつける
 たとえば、「日頃の訓練でしっかりコミュニケーションをとる」というポイントを先にあげたのに、いつのまにか仕事以外でのつきあいも大切にしよう……みたいな話になっていたらおかしいわけですよね。

※東京消防庁T類論文の実際の過去問については、以下のページにまとめてありますのでご覧ください。
⇒ https://tokyoshobo.uijin.com/contents03.html
※なお、実際の過去問の答案例やくわしい解説は『東京消防庁消防官T類 論文試験対策テキスト(2021年受験版)』に収録しています。内容については以下をご覧ください。参考にしていただければ幸いです。
⇒ https://tokyoshobosiken.seesaa.net/article/480170884.html
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2021年03月08日

東京消防庁T類 論文試験対策2021最新版(6)

 今回はAタイプのうち、とくに2017年〜2020年1回目にかけて続いた「グラフ読み取り形式」の課題についての注意点をまとめておきます。
 「グラフ読み取り形式」も内容的にはAタイプに属しますから、論点を2つに分割して述べるといった構成法はそっくりそのまま当てはまります。ただ、答案の最初に「グラフから読み取れる傾向や課題」を述べなくてはならない点に注意! 早合点は禁物で、出題者はいったいどのような内容を読み取ってほしいのかを冷静に考えてみる必要があります。
 たとえば、2017(平成29)年2回目試験の課題では「高齢者人口と割合の推移」の棒グラフが示されたのですが、それを見てただ高齢化のグラフだな……としか思わないようなら、出題者の意図をまったく読み取れていないことになります。なぜこのグラフが選ばれたのか。そこをよく考えないと……。
 2018(平成30)年2回目試験や2019(令和元)年1回目試験のような課題ならば、「アンケート結果」の読み取りがカギです。回答者の多い項目にこだわってください。アンケート結果を無視してどんどん書いていく、ということが決してないように。

例:「資料『救急車を呼んだ理由』から読み取れる課題と対応策について、あなたの考えを具体的に述べなさい。」(2019年1回目)

 資料(グラフ)は割愛しますが、かりにこの問題であれば、答案では指示通りに、必ず「グラフから読み取れる課題」⇒「対応策」の順に述べなくてはなりません。ただし「読み取れる課題と対応策について述べなさい」とあるだけで、「課題を2つあげなさい」といった指示はないので、

・おおまかに課題を1つだけ示し、続けて対応策を2つ(以上)に分けて述べる
・最初から課題を複数示し、それぞれについて対応策を述べる

 
 どちらの構成を用いても構わないことになりますよね。(自分にとって書きやすいほうでOK。)
 かりに課題を1つだけ示し、対応策を2つに分けるのであれば、

第1段落:グラフから読み取れる課題をあげる
第2段落:課題への具体的な対応策−1
第3段落:課題への具体的な対応策―2
第4段落:まとめ・しめくくり


 このような4段落構成が最もシンプルなかたちになります。あるいは、火災に関する現状をまとめて述べた「前置き(テーマの背景)」の段落を最初に置いて、

第1段落:前置き・導入部分(=火災をめぐる現状)
第2段落:グラフから読み取れる課題をあげる
第3段落:課題への具体的な対応策―1
第4段落:課題への具体的な対応策―2
第5段落:まとめ・しめくくり


 としても構いません。
 一方、最初から「読み取れる課題」をはっきり2つに分け、それぞれに「対応策」を述べるのであれば、

第1段落:グラフから読み取れる課題−1
第2段落:課題―1への対応策
第3段落:グラフから読み取れる課題−2
第4段落:課題―2への対応策
第5段落:まとめ・しめくくり
  

 たとえばこんな段落構成になるでしょうね。

 Aタイプの論文課題への対策はここまで。次回はBタイプ(「組織や仕事」に関わるテーマ)への対策を考えてみることにします。


※東京消防庁T類論文の実際の過去問については、以下のページにまとめてありますのでご覧ください。
⇒ https://tokyoshobo.uijin.com/contents03.html
※なお、実際の過去問の答案例やくわしい解説は『東京消防庁消防官T類 論文試験対策テキスト(2021年受験版)』に収録しています。内容については以下をご覧ください。参考にしていただければ幸いです。
⇒ https://tokyoshobosiken.seesaa.net/article/480170884.html
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2021年03月07日

東京消防庁T類 論文試験対策2021最新版(5)

 Aタイプの論文答案に「東京消防庁の取組み」をどの程度詳しく具体的に書き込むべきなのか、という質問をよくされるので、その点について筆者なりに答えておきましょう。
 確かに、取組みの内容があいまい・あやふやであったり、実現性のない単なる思いつきであったりすると説得力がありません。実際に東京消防庁が進めている取組みについては、(ものすごく細かくではなくても)ある程度知っておくべきです。
 東京消防庁の取組みを知るうえで、
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/portal/data/keikaku.pdf
 このような資料がまとまっていて便利だったのですが、残念ながら2017年のものなので内容的に少し古くなってしまっています。
 もうすこし新しい情報までカバーするのなら、「東京の消防白書(2019年版)」などで探すほうが確実ですね。
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/hp-kikakuka/gyouseigaiyou/hakusyo2019.html
 なお、具体的な取組み事例を答案中に盛り込む場合は、「東京消防庁はいま○○○に取り組んでいる。」のように、ただ事実を並べるだけだとまずいので気をつけて! 論文というのはあくまで自分自身の考えを述べるもの。たとえば、「こうした取組みをさらに強化していくべきだ(と私は考える)。」のように、あくまで自分の考えとして述べておくようにしてください。
 東京消防庁がいま進めている取組みをベースに、それを別の分野にも応用する・別の面からのアプローチも考えてみる……といった提案ができれば、いっそう説得力が増すでしょうね。(ただ、そのレベルまでは求められません。)

※東京消防庁T類論文の実際の過去問については、以下のページにまとめてありますのでご覧ください。
⇒ https://tokyoshobo.uijin.com/contents03.html
※なお、実際の過去問の答案例やくわしい解説は『東京消防庁消防官T類 論文試験対策テキスト(2021年受験版)』に収録しています。内容については以下をご覧ください。参考にしていただければ幸いです。
⇒ https://tokyoshobosiken.seesaa.net/article/480170884.html
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2021年03月06日

東京消防庁T類 論文試験対策2021最新版(4)

 Aタイプの論文対策の続きです。今回は冒頭段落の内容について、すこし補足しておきたいと思います。
 公務員論文(行政論文)では、与えられたテーマに関する「現状(や背景、事実経過)」を最初の段落に述べるというスタイルがよく採られます。したがって、東京消防庁消防官T類のAタイプ論文の場合にも、たとえば「少子高齢化が社会に及ぼす影響」に先立ち、冒頭段落に「少子高齢化の現状」を短くまとめて述べておく手もあるわけです。
 その場合は、以下のような5段落構成がイメージされるでしょうね。

例:「少子高齢化が社会に及ぼす影響をあげ、それに対する消防行政の取組みについて、あなたの考えを述べなさい。」(2014年2回目)
第1段落:少子高齢化の現状をデータ(数字)などをあげて述べる
第2段落:少子高齢化が社会に及ぼす影響として「災害や事故における高齢者の被害の増加」「地域における防災力の低下」をあげる
     これをふまえ、次段落から消防行政の取組みを2つに分けて述べる。
第3段落:高齢者の安全を守る取組み→その具体的事例
第4段落:地域の防災力を高める取組み→その具体的事例
第5段落:しめくくり(最後に自らの決意表明も付け加える)


例:「先般発生した、平成28年熊本地震における災害について、あなたが問題と感じることを2つあげ、その解決方策について述べなさい。」(2016年1回目)
第1段落:熊本地震の概要をまとめて述べる
第2段落:熊本地震での「問題」をはっきり2つあげる
     次の段落からそれぞれの問題に対する解決策を述べる
第3段落:問題1→それに対する解決策
第4段落:問題2→それに対する解決策
第5段落:しめくくり(最後に自らの決意表明も付け加える)


 もちろん、出題者はまず「問題」を挙げるように指示しているわけですから、最初の段落で「問題」を述べる書き方でよいのですが、さらにその前に短い冒頭段落を置き、「現状」や「事実経過」だけをまとめて述べる書き方にもメリットはあります。基本的にただ「現状」「事実」を述べるだけなので、簡単に書けて字数をかせげるというのもその一つ。(簡単に書けるといっても、もちろん「現状」「事実」に関する知識はあらかじめストックしておく必要がありますが。)
 現状を述べる段落ではできれば具体的な数字や日付も盛り込むとよいでしょう。細かい数字をたくさんあげる必要はありませんが、印象の強い数字だけをさらっと入れておく感じ。「日本の高齢化率は約29%に達しており」「2019年のわが国の人口の自然減は約51.6万人」といったぐあい。やはり説得力が違いますからね。いうわけで、主要なデータ(数字など)は事前にチェックしておきましょう。(なるべく最新のデータを! 5年も10年も前の数字を挙げられても困ります。)
 いったいどのようなデータを調べておくとよいのか。テーマごとにその例をあげてみます。

◆少子高齢化:高齢化率 合計特殊出生率 人口の減少数(とくに自然減) 将来の推計人口……
◆火災:住宅火災の主要な原因の順位 火災死者のうち高齢者が占める割合 住警器の普及率……
◆救急:救急出場件数の推移(とくに東京消防庁管内) 現場到着や病院到着までの平均時間の推移…… 
◆情報化:インターネットや携帯電話・スマホの普及率(とくに年代による違い)……
◆災害:近年の大規模災害の名称と発生時期
→東日本大震災(2011年3月11日)や熊本地震(2016年4月)、西日本豪雨(2018年7月)、令和元年台風19号(2019年10月12日上陸)、令和2年7月豪雨(2020年7月)……など、答案に書くのなら名称や時期を間違えないように!


 また近い将来に起きるといわれている首都直下地震や南海トラフ巨大地震の想定被害規模などの数字もできればチェックしておきましょう。
 これらのデータ(数字)を調べる過程で、自然と「現状」「事実経過」に言及したさまざまな文例にもふれることになり、第1段落を書くときには大いに参考になるでしょう。
 次回はAタイプの論文答案に、東京消防庁の取組みをどのくらい盛り込むべきかを考えてみます。

※東京消防庁T類論文の実際の過去問については、以下のページにまとめてありますのでご覧ください。
⇒ https://tokyoshobo.uijin.com/contents03.html
※なお、実際の過去問の答案例やくわしい解説は『東京消防庁消防官T類 論文試験対策テキスト(2021年受験版)』に収録しています。内容については以下をご覧ください。参考にしていただければ幸いです。
⇒ https://tokyoshobosiken.seesaa.net/article/480170884.html
posted by TP at 07:00| 論文試験対策 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする