2021年03月10日

東京消防庁T類 論文試験対策2021最新版(8)

 今回からはCタイプ、ある特定のテーマ、視点に関連して、「自らの経験」を踏まえて考えを述べるタイプの論文について、答案作成のコツを考えてみます。ちなみにこの系統のテーマ、近年はずっと出ていませんが、ひょっとして……ということも。それに、東京消防庁以外の併願先でこのタイプに出くわす可能性もあるので、ぜひ備えておきましょう。
 このタイプは「経験」を踏まえて述べるので、論文というよりは「作文」なのですが、だからといって書くのがラクだとも言いきれません。例として、2013年2回目の論文課題を取り上げてみます。

「あなたが今までに最も困難だと感じた経験から学んだことをあげ、それをこれからどのように活かしていくか述べなさい。」(2013年2回目)
 指示そのものは非常に明快ですよね。「今までに最も困難だと感じた経験から学んだこと」→「それをこれからどのように活かしていくか」という順序で述べればいい。
 留意すべきは、以下のような点でしょう。

★「学んだこと」の中身を端的に、わかりやすく示す
 「困難を感じた経験」が細かく述べられているのに、肝心の「学んだこと」の中身がはっきりしない、というのでは困ります。じゃあその中身をどう表現するかですが、これは消防官(を目指すもの)の立場から考えてみてください。「これからどのように活かしていくか」というのは、むろん東京消防庁消防官としてどのように活かすか、です。だとすると、「学んだこと」の中身は、可能な限り消防官の職務や消防官に求められる資質という観点から考えなくてはなりません。具体的には、「高度なチームワークを築く方法」「つねに冷静な判断と行動」「正確な情報伝達能力」「実践を想定した訓練の重要性」……など、消防官(救急隊員)の職務に直結するようなものにすべきだということです。
 
★「学んだこと」にぴったり整合した経験談を述べる
 言うまでもありませんが、この点もよくよく気をつけてくださいね。たとえば「チームワークのあり方」を学んだのであれば、それを裏付ける経験談はチームのメンバーとの関係性に焦点を当てて述べることになるでしょう。一方、「正確な情報伝達のあり方」を学んだのであれば、経験談では具体的なことばの使い方・話し方に焦点を当てることになります。まず「学んだこと」の中身をしっかり決めてから、それに沿うように自らの経験を述べるようにしましょう。

★経験談にストーリー性をもたせる
 経験談の述べ方にも暗黙の定型があります。当初はうまくいかない状態だった→問題点や課題を洗い出した→改善策を実行した→成果を上げた というストーリーにして語るのがお約束ですよね。消防官の職務の性質を考えるなら、「改善策の実行」は単独行動ではなく、チームのメンバーと力を合わせて実行した事例が望ましいでしょう。(そのうえで自分自身がリーダーシップをとり、率先して行ったという状況ならなおよし。)
 
 答案の前半に「学んだこと」+「裏付ける経験」がきっちり述べられ、後半にそれを受け「(消防官として)どのように活かしていくか」が述べられていれば、とりあえずOK。
 では、次回は全体的な展開・段落構成について取り上げてみることにします。

※東京消防庁T類論文の実際の過去問については、以下のページにまとめてありますのでご覧ください。
⇒ https://tokyoshobo.uijin.com/contents03.html
※なお、実際の過去問の答案例やくわしい解説は『東京消防庁消防官T類 論文試験対策テキスト(2021年受験版)』に収録しています。内容については以下をご覧ください。参考にしていただければ幸いです。
⇒ https://tokyoshobosiken.seesaa.net/article/480170884.html
posted by TP at 07:00| 論文試験対策 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月09日

「消防に関する世論調査(令和2年)」の公表

 東京消防庁が「消防に関する世論調査(令和2年)」を公表しました。
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/yoron/yoronR02.html
 
 東京消防庁消防官1類採用試験では、これまでに3回(2017年1回目、2018年2回目、2019年1回目)、「消防に関する世論調査」のアンケ―ト結果(グラフ)を読み取って論述させる課題が出題されています。とくに気になる項目は「東京消防庁T類採用試験論文試験対策資料集」p.16〜にまとめていますので、お持ちの方は目を通してみてください。
⇒ https://tokyoshobosiken.seesaa.net/article/480170929.html

 今回は、2020年に新たに追加された質問項目から2つほど回答結果を挙げておきます。「資料(グラフ)から読み取る練習」になるように、Question(質問)もつけておきましたので、簡潔に答えてみてください。

◆(応急手当を学ぶ救命講習を受けたことがないと答えた人に対して)救命講習を受けない理由(複数回答可)
・講習をやっていることを知らなかった=64.3%
・講習を受ける時間がない=25.0%
・講習に行くのが面倒=16.3%
・新型コロナウイルス感染の恐れがあったため=5.8%
・講習を受ける必要性がない=2.0%
・講習を受けなくても、応急手当ができる=1.7%
・新型コロナウイルスにより講習が実施していなかったため=1.2%
・その他=10.5%

Question.
*この回答結果から読み取れる問題を2つ(以上)挙げよ。
*それぞれの問題について、どのような取組みが必要か?


◆(応急手当を実施できないと答えた人に対して)応急手当をできない理由(複数回答可)
・自信がないから=59.9%
・かえって悪化させることが心配だから=43.9%
・何をしたらよいかわからないから=42.0%
・誤った応急手当をしたら責任を問われそうだから=26.8%
・怖いから=18.2%
・感染などが心配だから=6.7%
・その他=6.5%

Question
*この回答結果から読み取れる課題を2つ(以上)挙げよ。
*それぞれの課題について、どのような取組みが必要か?


※Questionに対する簡単な解答例は、後日、改めてアップします。
posted by TP at 13:00| 論文試験対策 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

東京消防庁T類 論文試験対策2021最新版(7)

 さて、今日はBタイプ、「組織や仕事」をめぐるテーマの答案作成について考えてみましょう。

例:「組織内のコミュニケーション不足が組織全体に与える影響をあげ、コミュニケーションを活性化させる方策について、あなたの考えを述べなさい。」(2015年2回目)
例:「組織において、個々の有する能力を発揮するために大切なことを2つあげ、あなたがどのように実践していくのか具体的に述べなさい。」(2016年2回目)
 
 こうしたテーマの答案をどう書けばよいでしょうか。 
 課題には「組織」とあるだけですが、ふつうに考えれば「消防組織」を想定すべきですよね。消防組織の中でどのようにコミュニケーションを活性化すべきか、消防組織の中で個々の消防官が能力を発揮するにはどうしたらよいか、自分消防官としてどのように実践するか……というぐあいに。これまで「組織内でのコミュニケーション」「組織内での個人の能力の発揮」がテーマになっていますが、同じ系統のキーワードとしては「組織内の情報共有」「チームワーク」「組織の規律」……なども考えられます。これらがテーマになっていたらどんなことが書けそうか、あらかじめシミュレーションしておくとよいでしょうね。
 いっぽう、形式/構成面については、すでに説明したAタイプの論文とほとんど変わりはありません。
 東京消防庁T類の論文は、書くべき内容と順序がはっきり指定されているのが特徴であり、「組織のあり方」系のデータについてもまったく同様。たとえば、2015年2回目の課題では「組織内でのコミュニケーション不足が組織全体に与える影響」→「コミュニケーションを活性化させる方策」の順ですし、2016年2回目課題では「組織において、個々の有する能力を発揮するために大切なこと(2つ)」→「あなたがどのように実践していくか」です。
 たとえば、2015年2回目試験の論文課題を例にとり、前半の内容と後半の内容をおおまかに考えてみましょう。

★組織内でのコミュニケーション不足が組織全体に与える影響
 具体的にどうなっちゃうのか、イメージしてみてください。連携がうまくとれず現場での活動でミスや遅れが増える、信頼関係が築けないのでチーム全体の士気が下がってしまう……など、いろいろな困った問題が生じるでしょう。

★コミュニケーションを活性化させる方策
 これも、自分が消防職員だったら……と具体的に想像してみれば、いろいろな方策が出てくるはず。日頃の訓練できっちりコミュニケーションをとる、ミーティング・反省会などを実施する、新人・若手に対し指導役を決める……などといったようなことから、チーム・組織での「飲み会」のようなインフォーマルな試みまで。

 さて、次に考えなくてはならないのは、答案をどのような段落構成で仕上げるか。これについても、基本的にはAタイプの答案と変わりありません。最低でも4段落以上になるように組み立てます。

例:「組織内のコミュニケーション不足が組織全体に与える影響をあげ、コミュニケーションを活性化させる方策について、あなたの考えを述べなさい。」(2015年2回目)
第1段落:「組織内でのコミュニケーション不足が組織全体に与える影響」を述べる。
     これをふまえ、次段落から「コミュニケーションを活性化させる方策」を2つに分けて述べる。
第2段落:方策その1
第3段落:方策その2
第4段落:しめくくり(最後に自らの決意表明などもつけておく)


例:「組織において、個々の有する能力を発揮するために大切なことを2つあげ、あなたがどのように実践していくのか具体的に述べなさい。」(2016年2回目)
第1段落:「組織において、個々の有する能力を発揮するために大切なこと」を2つあげる。
     次段落からそれぞれについて、具体的にどのように実践していくのかを述べる
第2段落:実践その1
第3段落:実践その2
第4段落:しめくくり(最後に自らの決意表明などもつけておく)


 書き出す前にこうしたおおまかな構成を考え、それに落とし込んでいくようにすれば、大きな失敗はせずにすむでしょう。なお、並列構造を使う場合、「コミュニケーションを活性化させる方策」や「どのように実践していくのか」の中身はなるべく明快なキャッチフレーズにして表現してください。続いて、具体的な取組事例を挙げて説明するスタイルにします。そのさい、以下のような点にも注意してください。
▲2つ(以上)のキャッチフレーズは、内容がかぶらないように設定する
 論点を分割するさいに、「これって結局同じことじゃないか」と思われてしまうような分け方では意味がありません。あくまで異なる視点で分けなくてはならないということです。
▲キャッチフレーズで示した方向性と、それに続けてあげた具体的事例の内容がずれないように気をつける
 たとえば、「日頃の訓練でしっかりコミュニケーションをとる」というポイントを先にあげたのに、いつのまにか仕事以外でのつきあいも大切にしよう……みたいな話になっていたらおかしいわけですよね。

※東京消防庁T類論文の実際の過去問については、以下のページにまとめてありますのでご覧ください。
⇒ https://tokyoshobo.uijin.com/contents03.html
※なお、実際の過去問の答案例やくわしい解説は『東京消防庁消防官T類 論文試験対策テキスト(2021年受験版)』に収録しています。内容については以下をご覧ください。参考にしていただければ幸いです。
⇒ https://tokyoshobosiken.seesaa.net/article/480170884.html
posted by TP at 07:00| 論文試験対策 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月08日

東京消防庁T類 論文試験対策2021最新版(6)

 今回はAタイプのうち、とくに2017年〜2020年1回目にかけて続いた「グラフ読み取り形式」の課題についての注意点をまとめておきます。
 「グラフ読み取り形式」も内容的にはAタイプに属しますから、論点を2つに分割して述べるといった構成法はそっくりそのまま当てはまります。ただ、答案の最初に「グラフから読み取れる傾向や課題」を述べなくてはならない点に注意! 早合点は禁物で、出題者はいったいどのような内容を読み取ってほしいのかを冷静に考えてみる必要があります。
 たとえば、2017(平成29)年2回目試験の課題では「高齢者人口と割合の推移」の棒グラフが示されたのですが、それを見てただ高齢化のグラフだな……としか思わないようなら、出題者の意図をまったく読み取れていないことになります。なぜこのグラフが選ばれたのか。そこをよく考えないと……。
 2018(平成30)年2回目試験や2019(令和元)年1回目試験のような課題ならば、「アンケート結果」の読み取りがカギです。回答者の多い項目にこだわってください。アンケート結果を無視してどんどん書いていく、ということが決してないように。

例:「資料『救急車を呼んだ理由』から読み取れる課題と対応策について、あなたの考えを具体的に述べなさい。」(2019年1回目)

 資料(グラフ)は割愛しますが、かりにこの問題であれば、答案では指示通りに、必ず「グラフから読み取れる課題」⇒「対応策」の順に述べなくてはなりません。ただし「読み取れる課題と対応策について述べなさい」とあるだけで、「課題を2つあげなさい」といった指示はないので、

・おおまかに課題を1つだけ示し、続けて対応策を2つ(以上)に分けて述べる
・最初から課題を複数示し、それぞれについて対応策を述べる

 
 どちらの構成を用いても構わないことになりますよね。(自分にとって書きやすいほうでOK。)
 かりに課題を1つだけ示し、対応策を2つに分けるのであれば、

第1段落:グラフから読み取れる課題をあげる
第2段落:課題への具体的な対応策−1
第3段落:課題への具体的な対応策―2
第4段落:まとめ・しめくくり


 このような4段落構成が最もシンプルなかたちになります。あるいは、火災に関する現状をまとめて述べた「前置き(テーマの背景)」の段落を最初に置いて、

第1段落:前置き・導入部分(=火災をめぐる現状)
第2段落:グラフから読み取れる課題をあげる
第3段落:課題への具体的な対応策―1
第4段落:課題への具体的な対応策―2
第5段落:まとめ・しめくくり


 としても構いません。
 一方、最初から「読み取れる課題」をはっきり2つに分け、それぞれに「対応策」を述べるのであれば、

第1段落:グラフから読み取れる課題−1
第2段落:課題―1への対応策
第3段落:グラフから読み取れる課題−2
第4段落:課題―2への対応策
第5段落:まとめ・しめくくり
  

 たとえばこんな段落構成になるでしょうね。

 Aタイプの論文課題への対策はここまで。次回はBタイプ(「組織や仕事」に関わるテーマ)への対策を考えてみることにします。


※東京消防庁T類論文の実際の過去問については、以下のページにまとめてありますのでご覧ください。
⇒ https://tokyoshobo.uijin.com/contents03.html
※なお、実際の過去問の答案例やくわしい解説は『東京消防庁消防官T類 論文試験対策テキスト(2021年受験版)』に収録しています。内容については以下をご覧ください。参考にしていただければ幸いです。
⇒ https://tokyoshobosiken.seesaa.net/article/480170884.html
posted by TP at 07:00| 論文試験対策 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月07日

東京消防庁 令和2年中の火災の概要

 3月4日、東京消防庁のHPで「令和2年中の火災の概要について」という資料が公表されました。
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/saigai/toukei/index.html
 (総務省消防庁による)全国の火災関連データについてはすでにご紹介しましたが、東京消防庁管内の最新データもぜひ見ておきましょう。

<東京消防庁管内の火災/令和3(2021)年>
・令和2(2020)年の火災件数は3694件。前年に比べ395件減。東京消防庁が消防事務の受託を開始した昭和35(1960)年以降で最少。
・令和2(2020)年の火災のうち、建物から出火した火災は2600件。そのうち約6割(1555件)が住宅火災。
・住宅火災の出火原因として最多なのは「ガステーブル(ガスこんろ)等」(384件)。以下、「たばこ」(204件)「放火」(144件)が続く。「ガステーブル(ガスこんろ)等」を出火原因とする火災が前年に比べ2割も増加。(新型コロナウイルス感染症の影響で自宅で過ごす時間が増えたため。)
・一方、飲食店火災は244件で前年の368人に対して大きく減少。(新型コロナウイルス感染症拡大に伴う休業や時短営業などが影響したと考えられる。)
・自殺を除く火災による死者(78 人)の7割以上が65歳以上の高齢者(58人)。とくに75歳以上の後期高齢者(42人)が非常に多く、全体の半数以上を占める。
・死者が出た火災の出火原因は「たばこ」(13人)が最多。「放火(疑い含む)」(10人)「電気ストーブ」(8人)がそれに続く。
posted by TP at 13:00| 報道・ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする